宇治拾遺物語

宇治拾遺物語

魚養の話

唐土にて母親に海に投げ入れられた子どもが、魚に助けられて無事、難波の浦にたどり着き、遣唐使であった父親に発見されます。その子どもは、魚に助けられたことから魚養と名付けられ、長じて後、能書家として知られるようになりました。奈良〜平安時代に実在した朝野魚養をめぐる話です。 (『宇治拾遺物語』巻第14-4「魚養の事」)
宇治拾遺物語

夢を買う人の話

古代では夢もまた一種の実体としてとらえられており、そこから、夢を売買する話も生まれました。「夢解き」を職業にする者もいて、鎌倉期成立の『二中歴』にはその名手の名前まで掲載されています。本話は、若き日の吉備真備が夢を買う話。(『宇治拾遺物語』巻第13-5「夢買ふ人の事」)
宇治拾遺物語

仮名暦をあつらえた話

仮名暦は、仮名で吉凶などの暦注を記した女性、一般庶民用の暦で、平安末期に生まれました。この話は、仮名暦の記載をめぐって引き起こされる、僧と女房の、皮肉的でまたおかしみのあるショートストーリーです。 (『宇治拾遺物語』巻第5-7「仮名暦あつらへたる事」)
宇治拾遺物語

狐が、家に火をつける話

侍の悪ふざけで痛めつけられた狐が、人の姿になって侍の家に火をつけ報復します。ストーリーとしてはシンプルですが、「狐火」(闇夜に山野などで見られる怪しい火)の由来とされる、「狐は口から火をはく」という俗説がベースになっている興味深い話です。 (『宇治拾遺物語』巻第3-20「狐、家に火つくる事」)
宇治拾遺物語

修行者が、百鬼夜行に遭う話

仏道修行のために回国行脚を続ける修行僧が、ある晩、宿泊した無人の寺で不動の呪を唱えていると、数多くの鬼たちがやって来ます。不動の呪の効力で何とか身は守れたものの、鬼たちが去った後、自分の身に想像もできないようなことが起こっていたことに気付きます。(『宇治拾遺物語』巻第1-17「修行者、百鬼夜行にあふ事」)
宇治拾遺物語

丹波国の篠村に、平茸が生える話

12世紀半ば、今の京都府亀岡市を舞台にした話。「縁が尽きて」群生していた平茸は一斉に消えてしまいますが、その理由を里の長老に夢で告げるのがボサボサ髪の法師たち。「平茸=法師」とされる不思議。その由来は宋の禅宗関係の書に?(『宇治拾遺物語』巻第1-2「丹波国篠村、平茸生ふる事」)
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日蔵上人が吉野山で鬼に会った話

平安時代中期の奈良県吉野山での話。「人に恨みを残すのは、結局、自分に返ってくるものでした」。憎しみの炎にわが身をこがされた紺青の鬼が苦しみを上人に訴えます。人を喰らう鬼もいればこんな鬼もいる。鬼もいろいろ。(『宇治拾遺物語』巻第11-10「日蔵上人、吉野山にて鬼にあふ事」)
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