鎌倉時代

古今著聞集

後白河院御熊野詣の折、紀伊国司が御前に松煙を積む話

「和墨に関する唯一の文献」とされる話。「松煙」は、松を燃やしてとった煤(すす)のことで、転じて、その煤をにかわで固めてつくった墨のこと。江戸時代に刊行された『日本山海名物図会』より、松煙を取る様子を描いた絵も併せて紹介します。(『古今著聞集』巻第3 公事第4「後白河院御熊野詣の折、紀伊国司御前に松煙を積む事」)
十訓抄

鴨長明の出家にまつわる話

『十訓抄』は、建長4年(1252)成立にした説話集で、10条の徳目を掲げ、それぞれの徳目にふさわしい説話を収めた幼少者用の啓蒙書です。今回は、徳目の「第9 懇望を停むべき事」の中で紹介されている、『方丈記』の著者、鴨長明の出家にまつわる話を紹介します。 (『十訓抄』第9「懇望を停むべき事」の7)
古今著聞集

寛喜3年夏、高陽院の南大路にて蝦蟇合戦のこと

寛喜3年は「寛喜の飢饉」と呼ばれる全国的な大飢饉に見舞われた年で、西暦では1231年に当たります。京都では餓死者が路上に充満し、死臭が家中に及ぶという有様でした。そのような中、数千匹の蝦蟇が堀に集まり、敵味方に分かれて戦うという不思議な現象が起こります。