奈良県

今昔物語集

母牛が狼を突き殺す話

ある日、放ち飼いのまま、田んぼに置き去りにされた雌牛と子牛。夕暮れ時に、大きな狼が現れ、子牛を付け狙いますが、雌牛は、狼に向き合い、辛抱強くその襲撃を防ぎます。そして、機を見て突進、狼の腹に角を突き立てて壁に押し付け、そのまま一晩中動かずに立っていたという話です。 (『今昔物語集』巻第29-38「母牛突殺狼語」)
宇治拾遺物語

日蔵上人が吉野山で鬼に会った話

平安時代中期の奈良県吉野山での話。「人に恨みを残すのは、結局、自分に返ってくるものでした」。憎しみの炎にわが身をこがされた紺青の鬼が苦しみを上人に訴えます。人を喰らう鬼もいればこんな鬼もいる。鬼もいろいろ。(『宇治拾遺物語』巻第11-10「日蔵上人、吉野山にて鬼にあふ事」)
古墳時代

雷の好意で授けてもらった強力の子の話

6世紀後半の敏達天皇のころ、愛知県と奈良県での話。頭に蛇が二重に巻きつき、蛇の首と尾が背中に垂れている姿で生まれた雷神の申し子(後の道情法師)が、王との力くらべや元興寺の鬼退治、水利争いで活躍します。 (『日本霊異記』上巻第3「電の憙を得て、生ましめし子の強力在りし縁」)
日本霊異記

雷を捉えた話

雄略天皇が皇后と交合している際、それとは知らずに部屋に入ってしまった小子部栖軽(ちいさこべのすがる)に天皇が命じたのは、雷鳴をきっかけとして「雷の神をお迎えしてこい」ということだった……(『日本霊異記』上巻第1「雷を捉へし縁」)