十訓抄 鴨長明の出家にまつわる話 『十訓抄』は、建長4年(1252)成立にした説話集で、10条の徳目を掲げ、それぞれの徳目にふさわしい説話を収めた幼少者用の啓蒙書です。今回は、徳目の「第9 懇望を停むべき事」の中で紹介されている、『方丈記』の著者、鴨長明の出家にまつわる話を紹介します。 (『十訓抄』第9「懇望を停むべき事」の7) 2021.05.16 鎌倉時代十訓抄京都府
今昔物語集 阿蘇史が盗人に遭ってはかり逃がれた話 「史」は、令制の四等官の最下位である「主典」(さかん)のうち、神祇官、太政官の主典のこと。本話では、主人公の阿蘇某という史が、公務を終え、夜更けに牛車に乗って家に帰る道すがら、盗人に襲われます。しかし、したたか者の史は、悠々と盗人を追い払います。そのユーモラスな「はかり事」に注目。 (『今昔物語集』巻第28-16「阿蘇史値盗人謀遁語」) 2021.02.21 今昔物語集平安時代京都府
古今著聞集 寛喜3年夏、高陽院の南大路にて蝦蟇合戦のこと 寛喜3年は「寛喜の飢饉」と呼ばれる全国的な大飢饉に見舞われた年で、西暦では1231年に当たります。京都では餓死者が路上に充満し、死臭が家中に及ぶという有様でした。そのような中、数千匹の蝦蟇が堀に集まり、敵味方に分かれて戦うという不思議な現象が起こります。 2021.01.24 鎌倉時代古今著聞集京都府
今昔物語集 玄象という琵琶が鬼に取られた話 平安中期の村上天皇の御代、唐伝来の琵琶の名器「玄象」が突然、消え失せてしまいます。ある晩、その音色を耳にした源博雅が、夜の平安京を南、南へとその音色を頼りに探し歩き、やがて、羅城門に至ります。 (『今昔物語集』巻第24-24「玄象という琵琶が鬼に取られた話」) 2020.12.13 今昔物語集平安時代京都府
今昔物語集 震旦の僧長秀、この朝に来て医師として仕えさせられる話 10世紀半ばの村上天皇の治世に、唐から来朝した僧であり医師でもあった長秀が、本朝で初めて「桂心」を見付け、医薬として用いたという話。桂心は桂皮、桂枝ともいわれ、現在も葛根湯など多くの漢方薬に配合されています。(『今昔物語集』巻第24-10「震旦僧長秀来此朝被仕医師語」) 2020.11.28 今昔物語集平安時代京都府
今昔物語集 藤原保昌朝臣が盗賊の袴垂に会う話 相手が武勇に優れる藤原保昌とは知らず、襲い掛かろうとする盗賊の袴垂。最後は刀を抜いて走り掛かりますが、保昌が一喝。保昌は観念した袴垂に自宅までついて来させるのですが、その理由が豪胆な者ならではもの。かえって底知れない不気味さを感じさせます。(『今昔物語集』巻第25-7「藤原保昌朝臣値盗人袴垂語」) 2020.10.31 今昔物語集平安時代京都府
宇治拾遺物語 丹波国の篠村に、平茸が生える話 12世紀半ば、今の京都府亀岡市を舞台にした話。「縁が尽きて」群生していた平茸は一斉に消えてしまいますが、その理由を里の長老に夢で告げるのがボサボサ髪の法師たち。「平茸=法師」とされる不思議。その由来は宋の禅宗関係の書に?(『宇治拾遺物語』巻第1-2「丹波国篠村、平茸生ふる事」) 2020.10.18 平安時代宇治拾遺物語京都府